降誕祭の夜

汝の敵を愛せよ

読書(日本)

「イエスと親鸞」を再読して  第五章 幸福とは何か

いよいよ最後の章になりました。途中の見出しは、自分なりにつけてみました。 イエスと親鸞 (講談社選書メチエ) 作者:八木 雄二 発売日: 2002/07/10 メディア: 単行本(ソフトカバー) シャカの悟りと浄土宗 最初にシャカが悟りを開いたことから浄土教の教え…

「イエスと親鸞」を再読し 第四章 親鸞の教え(『歎異抄』を読む) 

『歎異抄』の解説のこの項が、今までの各章の項の中で一番ページ数が多いです。できるだけ工夫してまとめます。 函館でとった浄土真宗のお寺の写真 『歎異抄』(1)教えの核心 著者は前の項で弟子たちが「分からない」でいることに同情しています。というの…

「イエスと親鸞」を再読して  第四章 親鸞の教え(親鸞の教えの背景) 

この項は、8項目なので、小見出しごとにできるだけ簡潔にまとめていきます。 あともう一息です! 浄土教の伝来と法然 浄土教は古くからから日本にも紹介されていました。 平安時代に『往生要集』を書いた源信(1017年没)が有名ですが、彼が教えた念仏業は…

「イエスと親鸞」を再読して  第四章 親鸞の教え(仏教と浄土教) 

第四章は3つに分かれています。 その第一は仏教と浄土教についての説明です。 小見出しはたくさんあるのですが、内容は3つに分かれている様な気がします 最初に仏教の始まりとその背景にあるもの、次に大乗仏教の動きから世界の宗教の関連について、そして…

「イエスと親鸞」を再読して  第三章 イエスの教え(ヨハネからイエスへ) 

イエス事績を伝える四つの「福音書」〜「マタイによる」、「マルコによる」、「ルカによる」「ヨハネによる」、それぞれの福音書にはイエスの教えとして多くのものが書かれているが、しかし、それは全てがイエス独自のものであるという一般的な理解は疑わし…

「イエスと親鸞」を再読して  第三章 イエスの教え(われわれはみな罪人である) 

なんだか、学生時代に本をもとにレポートをまとめているような雰囲気になってきました。 いよいよイエスの教えの核心に触れる章です。 1われわれはみな罪人である 洗礼者ヨハネについて 前の章であったように、ユダヤ民族は自己愛的精神を捨てることなく禁…

「イエスと親鸞」を再読して  第二章 ユダヤ教の伝承(十戒) 

ここまで、この本に関わってきたので、時間がかかってもなんとか最後までまとめたいです。 第二章の後半は「モーセの十戒」についてです。 映画は見たことがあるようなないような、おぼろげな記憶です。このブルーレイのジャケットは、多分、出エジプトの場…

「イエスと親鸞」を再読して  第二章 ユダヤ教の伝承(創世記) 

二章を一気にまとめるのはちょっと私の力量では無理なので二つに分けてまとめます。 今回は第二章の前半の「創世記」についてです。 1「創世記」は何を語る物語か まず、第一章で取り上げた「オカルト」という概念について 前章で「オカルト」とうなんとも…

「イエスと親鸞」を再読して  〜第一章〜

第一章 なぜ、今イエスと親鸞か 1 イエスと親鸞の道 科学技術が何事かを実現してきたことは確かである。しかし、その具体的内容がどれほど「達成」という名に価するかは、疑問とすべきであろう。 と現代の悲惨さの原因として科学技術が『両刃(もろは)の剣…

「イエスと親鸞」を再読して  〜はじめに〜

5月の連休明け頃からこの本と「鉄道員(ぽっぽや)」を並行して読書していました。 「鉄道員」は、8つの短編のうちの3つの物語を読んで、小休止です。 「イエスと親鸞」は2回目ですが、やはり内容が難しくて、一気に読み進めることができませんでした。 …

細川ガラシャ夫人  三浦綾子 著

「麒麟がくる」とても面白いです。明智光秀が主人公ですが、彼の生きた時代は、戦国の真っ只中です。出てくる登場人物も斎藤道三、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康、他にもたくさんです(主役級の俳優さんがたくさん出演してるので見応えがあります)。 明智光…

マンガでやさしくわかるレジリエンス  久世浩司 著

レジリエンスという言葉と「ストレスに負けない “折れない心”をつくる」という見出しに惹かれて購入しました。 マンガのストーリーの部分は確かにわかりやすく、読み進めることができますが、その背景にあたる解説のところは思った以上に読み応えがありまし…

燃えよ剣  司馬遼太郎 著

司馬遼太郎の作品は、ほぼ読んだのではないかなと思います。彼の作品は戦国時代のものと幕末のものが多いような気がします。 「燃えよ剣」は幕末もので、新選組の土方歳三が主人公の物語です。 この前、五稜郭のことをブログにまとめていた時にこの本のこと…

さよならドビュッシー 中山七里 著

連休中に読もうと思って買っていた本です。 映画がよかったので、原作も絶対、読もうと思っていました。初めて読む作家です。 ほぼ、映画通りの展開でした。とてもよかったです。二日間で読み終えました。 岬先生のピアノの演奏シーンや「遥」のコンクールに…

改訂新版「日本国憲法」なのだ! 赤塚不二夫・永井憲一 著

今日も「ステイホーム!」。 連休初日の昨日は、どうしても祈りのためにある場所に行かなくてはならなかったので、朝、10キロほどジョグをして、掃除や洗濯などの家事をしてからお出かけをしました。 ちなみに、教会や集会のように人が集まるようところでは…

鉄道員(ぽっぽや)  浅田次郎 著

この作品は、テレビでたまたま高倉健主演の映画を見たのが最初です。 北海道の雄大な四季とローカル線。その駅に佇む高倉健の姿がとても印象的でした。 彼には北海道や雪景色がよく似合います。 それで、思わず本を買ってみたら、この作品は短編集の中の一つ…

異邦人を再読して

高校生の時の読んだ時と全く違った印象を持ちました。主人公ムルソーの一見投げやりなところや物事や人に対しての無関心なところとそうでないところが描かれていました。 常識では考えられないような行動には共感できませんでしたが、彼の日常は比較的穏やか…

敦煌 井上 靖著

昭和40年6月30日発行 私が購入したものは30刷。読んだのは多分、高校1年の時です。中学校の時の国語の教科書で、井上靖の「しろばんば(著者自身の少年時代を描いた自伝小説。)」を学習したときに、他の著作として「敦煌」が紹介されていたことがこの本を…

潮騒  三島由紀夫 著

『騎士団長殺し』の最終巻を買いに行ったときに、ふと三島由紀夫の著作のコーナーが目に入り、 「そういえば、三島由紀夫の作品、何も読んでいないなぁ。」とそのコーナを眺めました。 割腹自殺の印象が強くて、なんとなく敬遠していた作家でしたが、ノーベ…

雪国  川端康成 著

国境の長いトンネルを抜けるとそこは雪国だった。 と印象的な書き出しで始まる小説です。読もうと思ったきっかけは、中学生の時、受験の模擬試験の国語の読み取りの文に、この物語の冒頭部分が使われていたので、いつか読もうと思っていました。私が買った本…

騎士団長殺し 第2部 遷ろうメタファー編 下 村上春樹(著)

長い物語もいよいよ最後の巻になりました。 裏表紙より 「簡単なことだ。あたしを殺せばよろしい」と騎士団長は言った。 「彼」が犠牲を払い、「私」が試練を受けるのだ。だが、姿を消した少女の行方は・・・・。 「私」と少女は、再び出会えるのか。暗い地…

騎士団長殺し 第2部 遷ろうメタファー編 上 村上春樹(著)

サブタイトルの『遷ろうメタファー』は、なんのことだろう?と思いました。 【遷ろう】は、うつろう、と読み『場所をかえること、よそへ移っていくこと』という意味の様です。 【メタファー】とは『隠喩』『暗喩』ともいうそうです。調べてみるといろんなパ…

騎士団長殺し 第1部 顕れるイデア編下 村上春樹(著)

いよいよ、イデアが騎士団長として主人公の前に顕れ、アドバイスやらメッセージやらを発します。村上春樹の小説の中では現実ではあり得ないような存在がよく描かれます。そしてそれが、主人公の生き方に様々な示唆を与えます。 目に見えるものが現実だ。 し…

ブログを続けて1ヶ月

数年前、ブログを始めました。理由は1月6日の記事と同じです。しかし、背伸びをしたのか本の感想も音楽のことも、詳しく書こうとか写真をたくさん入れなくちゃ、とか考えているうちに次第に億劫になってしまいました。 それで辞めました。記事も月に3本くら…

騎士団長殺し 第1部 顕れるイデア編上 村上春樹(著)

ずっと読みたかった本なのですが、2019年には「カラマーゾフの兄弟」やら「蜜蜂と遠雷」「コレリ大尉のマンドリン」を読んだり、昔見ていたドラマを再視聴したりで、後回しにしていまいました。 楽しみは後に、という気持ちもあったので。 全4巻読み終えて…

影裏 沼田真佑(著)

東日本大震災と岩手を扱っているという作品ということで、書店に並んだ時にすぐ買って読みました。 あの震災は、私の人生観やそれまでの生き方が、いかに甘かったかを考えさせられる出来事でした。私が住んでいるところでは津波の被害はありませんでしたが、…

ノルウェイの森  村上春樹(著)

とても有名な村上春樹なのに、彼の小説を読んだのは40歳前後の頃です。時代小説にすっかりハマっていて、司馬遼太郎を中心に読んでいました。 それに、ベストセラーになったこの小説の売り出し方が、華やかすぎてて、「流行りのものからは距離を置く」とい…

竜馬がゆく 司馬遼太郎(著)

初めて読んだ司馬遼太郎の小説は、高校時代の「項羽と劉邦」でした。世界史での古代中国史、そして漢文で習った「四面楚歌」の学習を経て、出会った本だったと記憶しています。 でも、今日は、「竜馬がゆく」の感想です。本当に痛快な小説でした。幕末で新選…

自分にとって走ることの意味について

小学校、中学校と足は遅い方で、特にマラソン大会は、毎年のようにビリで、いつも拍手をもらってゴールをしていました。あの拍手って、嬉しくも何ともなくて、ただ恥ずかしいだけでした。頑張ったという充実感も全くなかったです。それくらい走るのは嫌いで…

イエスと親鸞 八木雄二(著)

本書の表表紙より 宗教は「迷信」ではない。ラディカルな自己認識への論理的な「問い」である。二人の宗教的天才が全存在をかけた「問い」とは何だったのか。ともに自己の悪を見つめたイエスと親鸞の思想に通底する「普遍性」を明らかにする。 「本書の内容…