降誕祭の夜

汝の敵を愛せよ

さよならドビュッシー 中山七里 著

連休中に読もうと思って買っていた本です。

映画がよかったので、原作も絶対、読もうと思っていました。初めて読む作家です。

ほぼ、映画通りの展開でした。とてもよかったです。二日間で読み終えました。

 

岬先生のピアノの演奏シーンや「遥」のコンクールに向けてのレッスンの様子やコンクールで演奏している時の心理描写などもきめ細かく描かれています。

 

ショパンエチュードドビュッシーの曲の解説も丁寧で分かりやすく、メロディーが頭の中でぐるぐる鳴っている感じでした。ドビュッシーの「月の光」と「アラベスク」の印象を「遥」が語る部分も共感して読むことができました。   

さよならドビュッシー (宝島社文庫)

裏表紙より

ピアニストからも絶賛!ドビュッシーの調べに乗せて贈る、音楽ミステリー。ピアニストを目指す遥、16歳。両親や祖父、帰国子女の従姉妹などに囲まれた幸福な彼女の人生は、ある日突然終わりを迎える。祖父と従姉妹とともに火事に巻き込まれ、ただ一人生き残ったものの、全身大火傷の大怪我を負ってしまったのだ。それでも彼女は逆境に負けずピアニストになることを固く誓い、コンクール優勝を目指して猛レッスンに励む。ところが周囲で不吉な出来事が次々と起こり、やがて殺人事件まで発生する―。『このミステリーがすごい!』大賞第8回(2010年)大賞受賞作。

 

全身大火傷から、ピアニストになる夢のためにリハビリに励む「遥」の描写からはその苦しさや痛みが伝わってくるようでした。それに、心ない言葉を浴びせる同級生や大人たちの描写も辛辣で、いたたまれない気持ちになりました。

 

一人の少女がこんな過酷な運命を背負い生きなければならないという現実と、それを跳ね返す原動力が、彼女のピアノへの情熱と岬先生との交流だったのだということが心を打ちます。

 

ミステリーの部分が小説では映画より詳しく描かれてます。ピアノの先生である岬洋介が謎解きをしてくれます。

 

他の作品も読んでみたくなりました。