降誕祭の夜

汝の敵を愛せよ

自分にとって走ることの意味について

小学校、中学校と足は遅い方で、特にマラソン大会は、毎年のようにビリで、いつも拍手をもらってゴールをしていました。あの拍手って、嬉しくも何ともなくて、ただ恥ずかしいだけでした。頑張ったという充実感も全くなかったです。それくらい走るのは嫌いでした。

 

そんな私ですので、中学ではブラバン(今は吹部というそうですね)に入部をしました。しかし、何を思ったか高校に入った時に一念発起して入ったクラブが真逆のバスケットボールクラブです。自分を変えたかったのだと思います。

入部してみると、私以外は、バスケもしくは他の運動部の経験者しかいません。私は、ろくに運動してこなかったので、満足に走れない、投げれない、シュートのステップが分からない等々と散々です。でも、自分に呆れながらも、何とか練習についていこうと頑張りました。

幸い、あまりの下手さからか、または、不器用なりにも頑張っていたからなのか、先輩方も同級生も温かく接してくれました。笑われたり揶揄われたりしませんでした。練習の後にシュートのステップを教えてくれたり、励ましの言葉をかけてくれたりしました。だから、3年間続けられたのだと思います。走ることも苦でなくなっていました。高校時代のロードレース大会では半分よりは上位で走れるようになりました。

 

で、ここからが本題です。

高校を卒業後、一人暮らしの時にタバコや酒を覚えて、体を動かすこともめっきり少なくなりました。激しく汗をかくような運動は、殆どしなくなりました。タバコは一箱、飲み会があると二箱は吸っていました。そんな私が、禁煙を決意したのは、職場での喫煙が全面的に禁止になったことが大きかったです。「禁煙外来」に行き12週間の禁煙プログラムで、タバコを断つことができました。

 

そこで心配になったのが、太ることでした。しかし、プールで泳いでみたら25メートル泳いでも息が切れないのにまずびっくりしました。そんな時に知人からリレーマラソンに出てみないかと誘われました。「2kmのコースを一周走るだけでいいから」と。

 

本番まで1ヶ月くらいあったので、家の周りを最初は500mくらいから始め、実際に走る2kmを何回か走って本番を迎えました。同じチームの中には実業団で走ったことがあるという本格的な方もいれば、年配の方、私のように初めて出場する方もいたりと、アットホームな雰囲気でした。さて、タスキを受け自分の番です。アップダウンが多くて、ヘトヘトになりました。おまけに練習では軽いジョギングでしたのに、皆さん速いので、全力で走りました。

 

その時の、沿道のたくさんの応援、流した汗の心地よさ、とても爽快な1日でした。それが走るようになったきっかけです。そして、フルマラソンを完走したいと思って買った本が、これです。

知識ゼロからのジョギング&マラソン入門

 

この本を買って、1年後にフルマラソンを完走しました。最後は本当に苦しかったしタイムも順位も大したことなかったけれど、完走して本当に嬉しかったです。

 

とても良い本です。走ることの楽しさと初心者の私でも分かるトレーニングの方法などがユーモアたっぷりに書かれています。トップランナーをたくさん育ててきた小出監督の市民ランナーへの温かい思いやりが伝わってきます。今でも、時々読み返します。

だから、昨年、訃報をニュースでお聞きした時は、とても驚きました。心よりご冥福をお祈りいたします。

 

今日も走りました。明日もきっと走ります。