降誕祭の夜

汝の敵を愛せよ

細川ガラシャ夫人  三浦綾子 著

麒麟がくる」とても面白いです。明智光秀が主人公ですが、彼の生きた時代は、戦国の真っ只中です。出てくる登場人物も斎藤道三織田信長豊臣秀吉徳川家康、他にもたくさんです(主役級の俳優さんがたくさん出演してるので見応えがあります)。

 

明智光秀の視点でドラマを描くと戦国時代の名だたる武将の位置づけや出来事が整理されてみることができます。歴史を俯瞰しているような感じです。

司馬遼太郎の『国盗り物語』を読んだ時のように戦国時代の権謀術数がリアルに感じられる描写もあるので45分間、食い入るように見ています。

 

と、そこで思い出したのがこの本です。「主殺し」「三日天下」とイメージの悪い明智光秀ですが、この本を読んで明智光秀の印象が変わったことと、その娘玉子(細川ガラシャ)の信仰に生きる姿に、心を打たれながら読み進めました。

 

細川ガラシャ夫人(上) (新潮文庫)

上巻裏表紙より 

明智光秀の娘として何不自由なく育てられた玉子は、十六になった時、織田信長の命令で細川忠興のもとに嫁ぐこととなった。女性が男性の所有物でしかなく、政略の道具として使われた時代に、玉子は真の人間らしい生き方を求めて行く……。実の親子も殺し合う戦国の世にあって、愛と信仰に殉じた細川ガラシャ夫人。その清らかにして熾烈な悲劇の生涯を浮き彫りにした著者初の歴史小説

細川ガラシャ夫人(下) (新潮文庫)

 下巻裏表紙より

暴君信長のむごい仕打ちに耐えかね、ついに明智光秀織田家に叛旗をひるがえした。しかしその天下はあまりにも短く、玉子は逆臣の娘として苦難の日々を過ごすことになった。父母一族は亡び、夫や子とも引き裂かれた玉子は、秀吉のキリシタン弾圧の中、洗礼を受けることを決意する……。強者の論理が支配する時代に、命をかけて信念を貫いた細川ガラシャの生涯を描く感動の歴史ロマン。

 

三浦綾子の作品は、この本を読む前に「ひつじが丘」を読んだ記憶があります。キリスト教について高校の倫理社会で学んだこと以上にこの本から何かを感じたのだと思います。

そんなこともあり、この本を購入しました。読んだのは転職した20代半ば頃です。

 

裏表紙にあるように何不自由ない生活から、一転して逆臣の娘として苦難の道を歩くことになる彼女がキリスト教に次第に惹かれていく心理描写が心に残っています。

 

周囲から見ると細川ガラシャの生き方は悲劇なのだと思います。でも、彼女は信仰の中で命をかけた生き方をしたので、悔いはなかったのだと思います。

 

自分に降りかかった災難(境遇)を乗り切るために、人のせいにしては前に進めないことや信仰が心の支えになることは私も実感したことです。自分の心の弱さや貧しさに向き合うことはとても大切なことです。

 

この本は、今、再読している本が読み終わったら読もうと思います。