降誕祭の夜

汝の敵を愛せよ

異邦人 カミュ

ずっと、本は好きで、物心ついた時から、いろんな本を読んでいました。

この本を読んだのは、増刷された年月日から推察するに多分私が高校2年生の時です。

バスケットやっていたのですが、なぜか本が好きなこともあり、高校時代はずっと図書委員でした。図書室は、小学生の時から好きな場所であったということもあります。

 

高校一年生の時に図書委員会主催の課題の本を読み、感想を交流し合う【読書会】にクラスから一人参加するように声がけをすること、と言われたのですが、やはり誰も参加するような人はいなかったので、仕方なく私がその会に出ることになりました。

 

そのときに読んだ本がカフカの「変身」でした。この小説がきっかけとなり、高校時代に何冊かですが翻訳物の小説を読みました。それ以来、時々、外国文学も読むようになりました。

 

さて、「異邦人」です。カミュのデビュー作なそうです。とても強烈で、ありえないような思考をする青年が主人公です。

異邦人 (新潮文庫)

(私の買った本の装丁はグレーに赤いアルファベットでカミュの名前が書かれ、異邦人という邦題と著者と訳者の名前が黒い文字で書かれているシンプルなものです。)

本の裏表紙にある、

母の死の翌日海水浴に行き、女と関係を結び、映画を見て笑い転げ、友人の女出入りに関係して人を殺害し、動機について「太陽のせい」と答える。判決は死刑であったが、自分は幸福であると確信し、処刑の日に大勢の見物人が憎悪の叫びをあげて迎えてくれることだけを望む。通常の論理的な一貫性が失われている男ムルソーを主人公に、不条理の認識を極度に追求したカミュの代表作 。

という、解説の通りの展開だったと思います。主人公に共感が全くできないのに夢中で読み進めた記憶があります。最後まで一気に読めたのは、好奇心からだったのかなと思います。

 

今、読むと全く違う印象を受けそうです。なぜなら、昨今の様々なニュースを見ると「不条理」な出来事があまりにもたくさん報道されているからです。

 

著者が伝えたかったのは、世の中には、ムルソーのような考え方をする人間がいるのだ、という表面的な事だけではないのだと思います。ムルソーや彼を取り巻く人々の描写から、一人ひとりの心に潜む「不条理」であったり、世の中の「常識」についての批判であったのかもしれません。内容はすっかり忘れているので、その時の印象で書いています。

 

この本も、もう一度、読みたい本です。