降誕祭の夜

汝の敵を愛せよ

ペスト カミュ

 

ペスト (新潮文庫)

裏表紙より

 アルジェリアのオラン市で、ある朝、医師のリウーは鼠の死体をいくつか発見する。ついで原因不明の熱病者が続出、ペストの発生である。外部と遮断された孤立状態のなかで、必死に「悪」と闘う市民たちの姿を年代記風に淡々と描くことで、人間性を蝕む「不条理」と直面した時に示される人間の諸相や、過ぎ去ったばかりのナチス闘争での体験を寓意的に描き込み圧倒的共感を読んだ長編。

この本を読んだのは、東日本大震災の後だったような気がします。著名な方が新聞だったかテレビだったか忘れましたが、この本から引用して、

「この物語に登場する【医師リウー】のように困難なことに直面した場合、逃げずに誠実に対応できているのだろうか。」

といったような問いかけをしていた記憶があります。

そのことと『異邦人』の作者の他の作品を読んでみたいという思いもあったので読み始めました。

 

登場人物の名前が覚えにくく、それぞれの人物の関係性も分かりにくかったです。また、翻訳された文体の意味を理解するのも難しく、読み進めても何度も戻って読み返したので読み終えるまでかなり時間がかかりました。筋を捉えるので精一杯のところもあったような気がします。

 

本の表紙にある街並みから、物語の舞台を想像しながら読み進めました。すっかり閉ざされた街の中で、ペストという病気を目の前にしての人々の対応がそれぞれで違っていたことは、なんとなく覚えています。病気に立ち向かう『リウー』のように明解に生きていくことが正しい道だと分かってはいるのですが、自分がその場に居合わせたら、と考えると他の登場人物のとった行動も理解できます。

 

今、新型肺炎が流行し、日本でも罹患している方が増えているようです。

東日本大震災の時もでしたが、きっと、この新しい病気にも誠実に立ち向かっている方々たくさんいるのだと思います。

 

どうか、早く流行が終焉しますように。