購入した本の発行年月日を見ると(90刷)読んだのは多分、高校1年の冬です。
この記事にカフカの『変身』のことも書いてあるのですが、その本との出会いが余程強烈だったことは鮮明に覚えています。サガンのこの作品を手に取って読もうと思ったきっかけは忘れました。題名に惹かれたのかもしれません。
裏表紙より
若く美貌の父親の再婚を父の愛人と自分の恋人を使って妨害し、聡明で魅力的な相手の女性を死に追いやるセシル……。太陽がきらめく、美しい南仏の海岸を舞台に、青春期特有の残酷さをもつ少女の感傷にみちた好奇心、愛情の独占欲、完璧なものへの反撥などの微妙な心理を描く。発表と同時に全世界でベストセラーとなり、文壇に輝かしいデビューを飾ったサガンの処女作である。
何だかすごいストーリーです。この本の主人公である17歳のセシルは女の子でもあり、
その思考や行動は理解できませんでした。でも、フランスの高校生というか恋愛に対する考え方に強烈な印象は持ちました。ストーリーも訳も分かりやすくて、どんどんページをめくっていった記憶があります。
何よりもサガンという18歳の女の子がこのような読み応えのある物語を書くということも驚きでした。
今、何十年ぶりに手に取って見て、冒頭のエリュアール『直接の生命』の詩がものすごく印象的です。
悲しみよ さようなら
悲しみよ こんにちは
天井のすじの中にもお前は刻みこまれている
私の愛する目の中にもお前は刻みこまれている
お前はみじめさとはどこか違う
なぜなら
いちばん 貧しい唇さえも
ほほ笑みの中に
お前を現す
悲しみよ こんにちは
欲情をそそる肉体同士の愛
愛のつよさ
からだのない怪物のように
誘惑がわきあがる
希望に裏切られた顔
悲しみ 美しい顔よ
奥深い詩です。特に最後の二行。
希望に裏切られた顔
悲しみ 美しい顔よ
再読すると、きっと違う感想を持つのだと思います。
この本を読んでからもう何十年も経っています。
高校の時には思いもしなかった様々な種類の悲しみを味わってきました。
この小説の中の【悲しみ】って何だっただろう?
そんなことを考えてしまいました。読み直したいですが時間が・・・・。