降誕祭の夜

汝の敵を愛せよ

項羽と劉邦  司馬遼太郎 著

高校生の時に漢文の学習で、史記項羽本紀』の中にある【四面楚歌】を学習した時に、その情景が目に浮かぶようであったことと、漢詩の力強さにも惹かれました。

そして、司馬遷が書いたというその物語と史実は、世界史でも学習をしました。

 

この本は、購入した年から推測すると、仕事を変えて新しい職場に努め始める前の準備期間の頃のようです。

中国大陸の雄大さとか、項羽と劉邦の人物像の違いがくっきりと描かれていたことと、二人が好敵手であったことが心を捉えて夢中になって読んだ記憶があります。

 

項羽と劉邦(上)(新潮文庫)

上巻裏表紙より

紀元前3世紀末、秦の始皇帝は中国史上初の統一帝国を創出し戦国時代に終止符をうった。しかし彼の死後、秦の統制力は弱まり、陳勝呉広一揆がおこると、天下は再び大乱の時代に入る。――これは、沛のごろつき上がりの劉邦が、楚の猛将・項羽と天下を争って、百敗しつつもついに楚を破り漢帝国を樹立するまでをとおし、天下を制する“人望"とは何かをきわめつくした物語である。

 

項羽と劉邦(中) (新潮文庫)

中巻裏表紙より

叔父・項梁の戦死後、反乱軍の全権を握った項羽は、鉅鹿の戦いで章邯将軍の率いる秦の主力軍を破った。一方、別働隊の劉邦は、そのすきに先んじて関中に入り函谷関を閉ざしてしまう。これに激怒した項羽は、一気に関中になだれこみ、劉邦を鴻門に呼びつけて殺そうとするが……。勇猛無比で行く所敵なしの項羽。戦さべただがその仁徳で将に恵まれた劉邦。いずれが天下を制するか?

 

項羽と劉邦(下) (新潮文庫)

下巻裏表紙より

楚漢の天下争いは勝負がつかない。圧倒的な項羽軍の前に、穀倉のある山にのぼってこれと対峙する劉邦軍。やがて和議成って故郷に帰る項羽軍を劉邦は追撃し垓下に囲む。ある夜、包囲軍の中から楚の国の歌が湧き上がるのを聞いた項羽は、楚人はことごとく漢に降伏したかと嘆き、天が我を滅ぼしたことを知る。あらゆる人物の典型を描出しながら、絢爛たる史記の世界を甦らせた歴史大作。

下巻の裏表紙にある【あらゆる人物の典型を描出しながら・・・】 につきる物語でした。

上巻の冒頭にある、秦末から楚漢の領域地図を見ると、広大な中国の中のとても大きな物語であることをより感じます。

 

高校時代に世界史や漢文の時間に学んだことを史実としてだけでなく、人々の思いをより感じることができた小説でした。